リタイヤ生活者との出会い
実は私、30歳ごろに会社を一度辞めて、1年ほど海外で暮らしていました。比較的若い時期に、そこでリタイヤ生活をするご夫婦に出会い、その生き方に憧れてしまったんですね。
そのご主人は元社長で、カナダの大きなマンションのペントハウスに住んでいらっしゃいました。
ヨットを所有し、絵に描いたような素敵なリタイヤ生活。。
でもその方との短いお付き合いのなかで、私が憧れた部分はどこだったのかというと、豪華な生活ではありませんでした。
それは「自由」です。
起きたい時間に起き、好きな時間を過ごし、寝たいときに寝る。
もちろん働きたければ働いてもいい。
カナダでの生活は疑似リタイヤ生活でした。自由を満喫したのです。しかし二つそのリタイヤ生活の方との違いがありました。
「使える額」と「継続性」です。
前者は私にとって憧れの対象ではありませんでしたが、後者は極めて重要で、当時の私には不可能なものでした。
かくして私は資金を使い果たし、日本に戻り再びサラリーマンとして働くこととなったのです。
幼いころから私が見てきた周りの大人は全員働いていました。父はもちろん働いていたし、祖父も身体が動かなくなるまで自営業で働きつづけました。
当然私も大学を卒業したあと就職し、働きました。人間というのは学校を卒業したら働き、65歳まで勤め上げてそこからは年金で静かに暮らす。
それが当たり前だと思っていたんです。
もちろん知識としてリタイヤという言葉は知っていましたが、私にはまったく関係のない話だと思っていました。
しかしカナダでの出会いと仕事をせずにカナダで生活するその生活そのものが私の人生を狂わせた(笑)のです。
「リタイヤしてもいいんだ。。」
家族や社会に対して負担をかけなければ、好きなことをしていい。
具体的な方法はわからないまま、そんな憧れを心に抱きながらのサラリーマン生活が再開したのが30過ぎのころのことでした。